「鍼灸治療を受けたよ!」と聞いたら、皆さんの反応はどうでしょうか?一度でも経験のある方なら驚いたりする事はないと思いますが、まだ未経験の方なら・・・
他院から来られた初めての患者さんから良く聞く事があります。『チョコチョコっと刺して、軽く擦られて。はい終わりです。やはり患者さん自身の努力も必要ですよ…』と言われました。この事を聞くたびに「だから、鍼灸は世間から特に医師からも認められないし伸びないんだ」と、同じ鍼を扱う人間からしたら申し訳ない気持ちになります。病気には、同じ症状でもその方の生活環境・手術歴など違いますので全てを聞き出しそれを踏まえた上で、『このような症状で原因は○○と考えられます。また、私の鍼灸ではここまで改善出来ると思いますが、この点は改善出来ないので病院での診察を一度受けて下さい』などと患者さんに対して図を交えて説明をします。また状況によっては「この部分が固くなりやすいのでこの姿勢は避けてくださいとか、この簡単なトレーニング動作を続けてみて下さい』などと具体的なアドバイスもして行きます。いくら良いものでも『今している事が何なのか、どんな意味があるのか』が患者さんに伝わっていなければ不安でしかないと思います。私がいつも思い出す新米の時の出来事があります。高齢の患者さんで症状から『重度の脊椎管狭窄症』だと思われたので『私の鍼では○○さんの症状は改善出来ません。病院での詳しい検査を一度受けて下さい』と2度ほどの鍼灸施術後にお伝えして次回の予約は受けなかったのですが、帰り際に『先生、私は昼間1人で病院にも気軽に行けません。手術は嫌ですし子供にも迷惑かけたくないので何とか少しでも軽くしてくれれば良いんです…。もう診てくれないんですか?」と寂しそうな顔で言われたことが忘れられません。この事を踏まえて、当院は初診時に『西洋医学観点からの病状説明・鍼灸の出来る事と出来ない事の説明・予後予測』を十二分に行い納得していただいてから施術して行く事を心がけています。また私自身、腰椎ヘルニアを患った経験から辛い症状に必死に耐えてきたような患者さんに『治るためには患者さんの努力も必要です』などと言うのは本末転倒で、施術者自身が全てにおいて一層の努力と研鑽をするべきだと考えております。
最近の研究で、『Fascia(ファシア)と呼ばれる繊維性の結合組織が原因』だと分かり始めました。この組織は、普段は数個の筋肉を一つにまとめ上げスムーズな動きをしてくれますが、一度絡んだような状態であったり、厚ぼったい感じになってしまうと揉んだり押したりでは太刀打ち出来ない状況になってしまいます。良く『マッサージした時は良いんだけどスグに…』と言う原因がココにあります。ですから、まず鍼で細かく『Fascia』を探し当て、ピンポイントで刺す技術が必要になります。鍼灸師は、最低でも十年は経験が必要などとも言われますが、探り当てるには筋肉のプロである、あん摩マッサージ指圧師の資格も必要だとも言えます。当院は、はり師ときゅう師とあん摩マッサージ指圧師の3つの国家資格を取得していますのでお任せください。